ワンルームマンション投資のデメリット

ワンルームマンション投資のリスク(デメリット)

ワンルームマンション投資には以下のようなリスク(デメリット)が存在します。

そのリスクとリスク対策、考え方など詳しく見ていきましょう。

空室リスク

ワンルームマンション投資は賃貸経営です。

入居者がいなければ、家賃収入も入ってきません。

家賃収入が入らなくても、毎月の固定費(管理費・修繕積立金・ローン支払)は支払わなければなりません。

例えば、都心のワンルームで2000万程度の物件を所有したとしましょう。

2000万を35年ローンで組むと、毎月の支払は管理費なども全て含めて大体8万円程度です。

家賃収入が入らないと、この8万円が毎月家庭から出ていくことになります。

適正家賃で貸しに出せていれば、長期間空室になる可能性は低いですが、それでも可能性は0ではありません。

空室の対策はこちらの記事をお読みください。

※不動産投資で空室が埋まらない時に試す8つの方法

都内のワンルームマンションに絞って投資することにより、その空室のリスクを最大限に回避することができます。

簡単にいうとワンルームマンションの入居ターゲット層となる「単身者・単身世帯」が東京都内では増加の一途をたどっているということです。

また単独世帯の増加の流れは今後数十年続きます。

東京都の単身世帯の今後の推移

ただし、今後の日本社会は少子高齢化の影響で人口そのものが減少していく予測がなされています

そんな中でも人口が今後も増え続けると予測されているエリアもある訳です。

それが「東京」なのです。

そして、その東京の1世帯あたりの平均人数は現在2人を大きく割り込んでおり、年々その数値は下がっています。

なので、今後もこの人数は限りなく1に近づいていく傾向にあります。

つまり単身者の割合が増加しているということですね。

なので、そんな単身者が増加していく中で、その単身者の住まいとなる「都心のワンルームマンション」に絞って投資することにより、空室リスクを最大限に回避することができるのです。

家賃滞納リスク

通常であれば、決まった日にちに家賃が入金される訳ですが、中にはその家賃を滞納してしまう入居者の方も少なからずいらっしゃいます。

家賃が滞納されると、オーナーに家賃が入金されずに投資シミュレーションが大きく狂ってしまいます。

ここに関しては、管理会社との滞納時の契約内容と入居時に必ず保証会社を通すことでリスクヘッジ可能となっています。

築年数が経過した極端に狭い築古物件などがありますが、滞納問題は基本的にこういった築古物件に多くみられる傾向にあります。

当然そのような築古物件は価格も安いわけですが、その分家賃も安いです。

その安い家賃のお部屋に住む入居者さんは、やはりご収入も低い場合が多いです

年齢が高齢の入居者さんになると、保証人も存在せず、保証会社も通らないような方も多いです。

そういった方々を入居させるかさせないかはオーナーさんの判断となりますが、万が一の滞納リスクも高くなるので注意が必要です。

都心の築浅物件に的を絞り入居時に必ず保証会社を通すことで、家賃の滞納リスクを回避することが可能です。

※賃貸(家賃)保証会社って何?素人にも分かりやすく徹底解説!

家賃下落リスク

物件が古くなれば家賃を下げることも当然考えなければなりません。

新築ワンルームなどは特にそうですが、新築時の家賃設定をローン期間中(35年)維持し続ける前提で物件を購入するのは非常に危険です。

物件価格もそうですが、家賃も新築プレミアムが上乗せされているとお考え下さい。

しかし、中古ならば安全か?と言われれば一概にそうでもありません。

相場よりも高額の賃料で入居している場合もありますので、そういった物件を購入してしまうと中古と言えども直ぐに賃料を下げなければならない状況になります。

物件購入の際は、周囲の賃料や物件価格等の相場を事前に調べておくことが非常に大切なのです。

価格下落リスク

不動産は市況商品ですので、時代によって価格が変わります。

しかし、とは言えども都心のワンルームを値上がりを期待して購入したり、ずっと同じ価値を維持できる前提で購入するのは非常に危険な考え方です。

現に新築物件を購入し直ぐに売却しようとすると、その時点で価格は20%~30%程度下落することからも明らかです。

※500万の赤字!新築ワンルームマンション投資の失敗で大損

※投資用の中古ワンルームを購入して直ぐ売却!ぶっちゃけいくら損する?

基本的に投資用ワンルームマンションの価格は「収益還元法」によって値段設定されます。

収益還元法の計算式

収益還元法とは、そのマンションから生み出される家賃収入からその不動産の適正投資価格を算出する方法です。

つまり、その物件からいくらの家賃収入が取れるのか?という部分が直接的な価格の根拠となるのです。

家賃の高い物件は値段も高くなりますし、低い物件は値段も安くなります

例えば以下のデータは収益不動産のポータルサイト「健美家」に登録された売却物件の平均利回りをエリア・築年数ごとにまとめたデータです。

区分マンションの全国築年別利回りの推移表(健美家四半期レポートより)

直近の東京23区の築10年未満の平均表面利回りは4.30%となっています、

例えば、毎月の家賃が9万円の23区内の築浅ワンルームマンションがあったとしましょう。

年間の家賃収入は

9万円×12カ月=108万円です。

この108万円を4.30%の利回りで割ると

108万円÷4.30%=2511万円となります。

つまりこの価格が売却の相場価格ということになります。

家賃を元に価格を割り出すわけですから、家賃が下がらなければ価格も大きく下がることはありません。

つまり「家賃の下がりずらい物件」=「価格の下がりずらい物件」といえます。

また、築年数の浅い物件と築年数の古い物件を比較した場合に利回りの差が大きいということは例えば同じ賃料であったとしても売買価格に大きく差が出るということです。

つまり、上記の図でいうならば

  • 最も築浅と築古の利回りの差が小さいエリア=東京23区内

でワンルームを所有することが価格下落へのリスクヘッジとなるのです。

近隣の家賃設定や周辺類似物件の築年数ごとの売却相場をもとにしっかりと出口(売却価格)を計算した上でシミュレートしましょう。

※ワンルームマンション投資の平均利回りを【地域・築年】別で徹底解説

金利上昇リスク

投資マンションのローンはそのほとんどが変動金利です(一部ソニーなどは2年固定などあり)。

金利が上昇すれば、毎月の返済額は大きくなります。

よって、将来的な金利上昇なども視野に入れて投資する必要があります。

また、金融機関によっては金利変動に関係なく「5年間は返済額一定」などの仕組みを導入している金融機関もあります。

オリックス不動産投資ローンの金利上昇・返済額見直しの仕組みを徹底解説

管理費・修繕積立金の上昇リスク

建物管理費・修繕積立金は建物管理会社に支払うお金です。

マンションの共用部分(エントランス・ロビー・外壁など)の維持・管理・修繕に使うお金ですが、毎月かかる固定費になりますが、この金額は将来的に変動します。

これは物件によって本当に様々ですが、今の新築ワンルームだと、大体スタート金額は、

・管理費5000円~8000円
・修繕積立金1200円~3000円

くらいの設定が多いです。

この管理費・修繕積立金額は将来変動の可能性があります。

管理費は一定なことが多いですが、修繕積立金は大体5年~10年のスパンで徐々に上がっていく場合が多いです。

スカイコートさんのマンションなどはスタート1500円の場合、10年後に3000円、20年後に4500円、30年後に6000円、みたいなパターンが多いですね。

例外としてTFDさんのルーブルマンションシリーズのいくつかの物件で30年間一定金額で修繕積立金が上がらないっていうのもあります。

ただ、それが本当に計画通りいくかどうかはまた別の話ですが・・・。

以下は国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」から抜粋したものです。

国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」

ワンルームマンションはそのほとんどは15階未満で5000㎡以下なので、平均の修繕積立金の目安は218円/㎡・月となります。

例えば20㎡のワンルームであれば

20㎡×218円=4360円

が毎月の修繕積立金の目安金額となります。

例えば総戸数が30戸の築10年の中古ワンルーム物件があったとしましょう。

築10年でマンション全体で積みたまっていなければならない金額は以下のように計算できます。

20㎡×218円×12カ月×30戸×10年=1569万です。

しかし、ここで問題なのが築年数の浅いワンルーム物件(10年以内など)ですと、そのほとんどがこの基準に達していないということです。

しかも、この218円/㎡・月という国土交通省の基準は主にファミリーマンションなども含めた形での平均値なので、ワンルームでそれだけ潤沢な修繕積立金を積み貯めるのは不可能に近いといえます。

また、共用部分の使用頻度や劣化スピードもワンルームはファミリーマンションに比べて低い(使用頻度が少ないから)ですからファミリーほど修繕にお金はかかりません。

よって、適正な修繕積立金の価格としては

20㎡×218円×12カ月×30戸×10年×70%(ワンルームである為)=1098万

程度が現実的かつ妥当な数値かと思われます。

基本的に新築ワンルームマンションは新築時の修繕積立金が非常に安く設定されており、徐々に金額が上昇していく傾向にあります。

マンション経営のシュミレーションをする際に、この修繕積立金の値上がりを言わない営業マンも多いので、注意してください。

当初の安い修繕積立金が一生続くようなシュミレーションを見せたり、その逆に向こう1年間のシュミレーションしか見せない業者もあります。

特に最初の修繕積立金が極端に安い物件(数百円など)は要注意です。

なので、必ず物件購入前に「長期修繕計画表」を見るようにしてください。

これを見れば、今後積立金がどのように上昇していくのかを見ることができます。

なので、シュミレーションする段階で、将来の修繕積立金の値上がりも含めて、ある程度計算することができます。

あまりにも築年数が古い物件だと、そもそも長期修繕の計画すらなく、建物のメンテナンスが全く行われていないスラム化したマンションも存在しますので注意が必要です。

設備や原状回復など突発的支出リスク

ワンルームマンションのお部屋の中の維持や修繕に使うお金です。

部屋の中にはエアコンや給湯器などの設備もあれば、年数が経過すれば壁紙などもオーナー負担で変えなければなりません。

そのような設備交換費用や入退去時の原状回復費用などもシミュレーションしておきましょう。

※ワンルームマンション投資で購入後にかかるランニングコスト一覧

以下は設備や原状回復費の一例です。

賃貸管理会社の倒産リスク

ワンルームマンションを所有するにあたって、購入後の賃貸(入居者)管理は賃貸管理会社に依頼するのが通常です。

賃貸管理会社は潰れづらいとは言われていますが、無理な家賃保証などがたたって、倒産してしまう賃貸管理会社も少なくありません。

賃貸管理会社が倒産する場合、いくつかの兆候が見られます。

その代表的な例が「家賃入金の遅れ」です。

期日までに家賃の入金が無かった場合には次の管理会社を探し、現在の管理会社との賃貸管理契約の解約の準備を勧めましょう。

賃貸管理会社を選ぶポイントや賃貸管理の契約書の注意点などは以下の記事でまとめております。

【保存版】ワンルームマンション投資で賃貸管理会社を選ぶポイント

管理会社が倒産してしまってからですと、家賃が取り返せなかったり、お部屋の入居者情報が分からなくなったりとリスクが大きくなります。

賃貸管理会社の業務内容は?管理会社が倒産したらどうなるの?

担当者の辞職リスク

これはワンルームマンション投資業界あるあるです。

基本的にワンルームを購入する際には、ほとんどの人がワンルームの担当者(営業マン)から物件を購入します。

会社から物件を買うというよりも、その担当者を信じて物件を購入される方も非常に多いです。

担当者にアフターフォローも含めて全て任せるつもりで物件を購入し、数年後にはその担当者が辞めてしまい、身近に相談できる相手がいない・・・

こんな状況になっている方からの相談が後を絶ちません。

ワンルームマンション投資会社の営業の離職率は非常に高いです。

※ワンルームマンション投資の営業マンの日常を大公開

ワンルーム投資の内容をほとんど理解せずに物件を購入している方も少なくありません。

「担当者を信じて」

「会社を信じて」

不動産業者のHPやお客様の声で良く聞くフレーズですが、ワンルームマンション投資は物件への投資です。

この先数十年先も今の担当者・販売会社・管理会社が存続している確証はありません。

優秀で親切な担当者がいることは素晴らしいですが、それを購入の決め手とするのはあまりにも危険です。

だからこそ、しっかりとワンルームについて学び、優良な物件に投資しなければならないのです。

天災リスク

ワンルームが建物である以上、「地震や火災」のリスクは常に存在します。

結論から言えば、火災に関しては保険に加入することでリスクヘッジすることができます。

地震に関しても、地震保険があります。

基本的に地震に強い物件を選ぶのであれば、1981年(昭和56年)以降に作られた「新耐震基準」の物件を選ぶことをお勧めいたします。

「新耐震基準法」は、1978年(昭和53年)の宮城県沖地震による被害を教訓にした、新たな基準で「震度6強以上の地震で倒れない住宅」と記載されています。

まだまだ記憶に新しい、阪神淡路大震災や東日本大震災でも、新耐震基準で建てられたワンルームマンションの倒壊事例は1棟もありませんでした。

なので、築年数が1981年以前の旧耐震の築古投資物件は選ばず、地震に強い「新耐震基準」(築36年以内)の物件を選ぶことで最大限に地震リスクを抑えることができます。

旧耐震と新耐震の違いについては以下の記事で詳しく解説しております。

>新耐震基準と旧耐震基準の違いを分かりやすく解説してみた

自宅の購入でローンを組めなくなる可能性

ローンを使ってワンルームを増やしていく場合、一定の戸数まで物件を増やすとそれ以上ローンを組むことができなくなります。

つまり、自宅の購入などを控えている場合、投資用のワンルームマンションローンが弊害となり自宅のローンの審査が否決になる可能性もでてくるということです。

※【悲報】フラット35融資基準が激変!ワンルーム投資家は自宅買えない?

この現象は、自宅に融資する銀行の投資用ワンルームに対する「評価」の問題に起因します。

一般的な日本の銀行は投資用の物件に融資をする際にその物件の「積算評価」というものを1つの重要な指標とします。

※不動産投資における積算評価(原価法)を超分かりやすく解説。

つまり、

  • 「積算評価」の高い物件には高い融資額がでる
  • 「積算評価」の低い物件には低い融資額がでる

ということになります。

この積算評価は土地の評価と建物の評価の合計額となります。

土地は路線価を基準として評価されます。

路線価は相続税・贈与税等にかかる税金を計算する際に、その税額を決める計算基準になるもので、路線(=道路)に付けられた価格です。

都心は土地も狭く、物件そのものの価格も高いため、地方の物件に比べると「積算価格」がそもそも通常に売買されている「販売価格」と大きく乖離してしまうパターンも多いです。

つまり都心の物件は

  • 販売価格>積算価格

という形になりやすいのです。

都心の投資物件を販売価格フルローンで購入すると、自宅用の銀行からすれば積算評価額を大きく超えたローンを組んでいるとみなすので、その分購入者本人の信用を毀損している!とみなされてしまうのです。

よって、そういった物件をいくつも所有していれば当然、個人の信用棄損は大きくなりますから自宅用の物件を購入する際のローン審査にマイナスの影響が出てしまうのです。

あくまで、金融機関の「物件評価方法」というだけなので、実際にそのような都心の物件を買えば「損」となるか?といえばそれは全く別のお話しなので勘違いの無いようにご注意ください。

都心の区分ワンルームマンションは確かに積算評価は出にくいです。

しかし、都心の駅前一等地は空間の利用価値が非常に高く、空室もほとんどありません。

だからこそ積算価格以上の「販売価格」となっているのです。

銀行の評価方法にケチをつけたところで自宅のローンが通りやすくなるわけではないので、今後自宅を購入予定の方は、将来的に自宅のローンを組む分の余力を残した中でワンルームを検討するように注意して下さい。

ワンルームマンション投資の最大のリスク対策とは

ワンルームマンション投資の最大のリスクは「空室」です。

空室が続くから家賃を下げなければならないのです。

空室が続くような物件は誰も買いたがらないから値段が安くなるのです。

入居が途切れないような人気な物件であれば、家賃も価格も高い水準を維持し続けることができます。

だからこそ、「都心の一等地で物件を所有すること」こそが、ワンルームマンション投資最大のリスク対策といえます。

単に都心の物件を購入するだけでなく、いかに安く物件を購入するか?

ということも同じくらい大切です。

投資用のワンルームマンションは収益還元法によって基本的に価格が決まっております。

※不動産投資における収益還元法(直接還元法とDCF法)を解説

よって、物件購入価格が安くなることで、将来的な空室や賃料下落による収益悪化を最小限に抑えることが可能となります。

投資マンションはそもそも値引きできない!

と思って、業者の言い値で物件を購入する方が多いですが、実際のところ業者や物件の決済のタイミングによっては大きく値引きして物件を購入することも可能です。

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