違法な販売スキーム

2月5日(火)に放送された「ガイアの夜明け」で投資用の中古一棟マンションを販売する㈱ケリーバックスがスルガ銀行への提出資料(預金残高)を改ざんしたとする問題で特集されていました。

以前にもレオパレスの界壁問題がガイアの夜明けで大きく報道されましたが、今回は地方一棟マンション売主業者が特集されていました。

目次

スルガ銀行の融資率は基本的に物件価格の90%~80%を基本としていました。

1億円の物件ならば、最大で9000万円までの融資となります。

そうなると、差額の1000万円と諸費用600万(物件価格の6%程度)で合計1600万の自己資金が必要となります。

※実際に頭金を支払っている人は少なく、ほとんどが形式上「値引き」という形で契約

預金がそもそも1600万ある人でも、お金を貸す銀行からすれば、この物件を購入すると預金が0円になってしまうよね?

大丈夫?

という見方になるのが普通です。

金融機関は、本来であればその部分も含めて与信審査(与信についてはこちら)をするのです。

よって今回の場合であれば最低でも2000~3000万以上の預金が必要だとわかりますね。

つまり、頭金の1600万を支払っても、まだ自己資金に余裕がある状態でなければならないということです。

しかし、一般のサラリーマンや公務員で「3000万以上の預金がある」など考えにくいですよね。

そこで出てくるのが「預金残高の改ざん」です。

物件の融資を引くために顧客の預金残高を改ざん

動画内には元ケリーバックス社員と名乗る人がインタビューに答えていました。

彼が言うには、金融機関に提出する顧客の自己資金(預金通帳のコピーなど)資料はほぼ100%の確率で改ざんしていたのこと。

金融機関側としては知らぬ存ぜぬで通すのかもしれませんが、ここまでくると、やはりスルガ銀行と不動産業者がズブズブの関係にあったのではないか?と疑われても仕方ないですね。

今回の被害者?の方は、預金残高5万円を5000万に改ざんされて融資を通過したようです。

空室でも入居中に?カーテンスキームとは?

空室中の部屋にカーテンを付け、電気を通して、あたかも入居者がいるかのように見せかけることです。

実際に金融機関の現地調査の前に、不動産業者がそのような行為を行っていたようです。

また、金融機関側もその行為を知った上で融資をおこなっていたと。

スルガ銀行(静岡県沼津市)による中古1棟マンション投資向け融資で、家賃や空室率を偽った資料で多額の資金が不正に貸し付けられ、不動産業者だけでなく行員も関与した疑いが浮上した。

業者が行員とみられる相手と交わしたLINEやメールには、両者が密接に連携したことをうかがわせるやり取りがあった。

以下がカーテンスキームを示唆するラインのやり取り

「明日午前中にカーテン行きます。終わり次第連絡するので、現地調査入れてもらっていいですか」(業者)

「了解です」(行員)

昨春、中古1棟マンションを投資用に売る不動産業者と行員の間で交わされたLINEのやりとりだ。

なぜわざわざ空室のお部屋にカーテンを?

融資を引き出すためです。

上記の引用資料にも記載しておりますが、金融機関から見れば家賃と入居率は高ければ高いほど高額な融資評価を得ることができます。

1円でも高く売りたい業者側と1円でも多く貸し付けたいスルガとのニーズが合致したのでしょう。

それによってレントロール(入居率や家賃の詳細資料)をそもそも改ざんして多額の融資を引き出すスキームが横行していたことが明らかとなりました。

カーテンを開けると空室のオンパレードだった・・・

被害者のインタビューは以下のような内容です。

50代の女性が岩手の一棟中古マンションをケリーバックスから8000万で購入。

契約時は18室中15部屋が入居の筈が、決済後半年で半分が退去。

家賃収入15万に対してローン返済は月45万。

毎月30万もの手出しが・・・。

普通に考えて購入してたった半年で6部屋以上が一気に退去するなんてことは考えずらく、そもそも空室だったのではないか?

との疑いが強いようです。

つまり、空室のお部屋のレントロールをそもそも改ざんし、高い入居率&高額家賃の「改ざんレントロール」を作成し、金融機関から多額の融資金を引き出していたようです。

スルガスキームの崩壊により、一棟業者の存続が困難に

地方一棟の三為業者はほとんどがスルガ銀行の融資に依存する形で成り立っておりましたので、そのスルガ銀行の融資がストップしたことにより、物件を販売できなくなる業者が続出しました。

現在ユーチューバーとして活躍されている、みねしましゃちょーの「水戸大家さん」もそのあおりを受け解散されました。

地方一棟のスルガスキーム三為業者は食べていけなくなったわけですね。

そこで現在では多くの一棟業者が区分マンション業界に流れ込んできております。

スルガ系一棟業者!区分ワンルーム業者へ転身も?】でご説明した通りです。

元一棟業者の区分ローンパックが横行していく気配

区分を売るには提携の金融機関が必要になります。

よって、区分の提携金融機関が無い一棟業者は区分を販売できません(一部の金融機関を除く)。

そうなると、区分業者の提携を上手く使って区分物件を販売しようとする悪質な一棟業者が増加する可能性が非常に高くなります(通称ローンパック)。

  • 営業してくる不動産業者の提携金融機関が少ない
  • 営業してくる不動産業者以外にもう一社不動産会社がでてくる
  • 営業してくる不動産業者が提携していないハズの金融機関で提案してくる
  • HPに提携金融機関が書いていない

等の事実があった場合は要注意です。

一般の方が見分けるのは少し難しい部分もありますので、分からない場合はメールやライン@でお問い合わせください。

という理由で、担当の営業マンや不動案投資会社に物件の購入・売却を任せっきりにしている人が非常に多いことに驚かされます。

不動産投資は大家業であります。

自分自身が経営者となるつもりで、しっかりと事前知識を付け、良く学んだうえで物件を購入しなければなりません。

まとめ

今回の被害者の方には申し訳ないですが、勉強不足が一番の原因でしょう。

周囲の価格・家賃相場や入居状況などをしっかりと事前に確認していれば、この物件を購入することも無かったでしょう。

区分マンションに比べると確かに一棟ものは利益も多く利回りも高いです。

しかし、その裏には今回のように大きなデメリットやリスクを含んだ投資であることも明らかとなりました。

不動産投資で業者の言いなりで物件を購入すると、今回のように無理やり粗悪な物件をはめ込まれてしまいます。

不動産投資の大手有名ポータルサイトがおすすめしているからと言って、安易に物件を購入してはいけません。

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